認知症について

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それって「もの忘れ」?認知症との違いを知ろう

「あれ?さっきスーパーで何買おうとしてたんだっけ?」、「あの人の名前、なんだっけ?思い出せない…」、こんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。 年齢を重ねると共に、このような「もの忘れ」が増えてくるのは自然なことです。 これは、脳の老化現象の一つと考えられています。 加齢によって脳の神経細胞の数が減少し、情報伝達がスムーズにいかなくなることが原因です。 しかし、日常生活に支障がない程度の「もの忘れ」は心配ありません。 むしろ、「もの忘れ」を自覚することで、メモを取ったり、繰り返し思い出そうとしたりするなど、脳を活性化させる行動につながることもあります。
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介護の現場で知っておきたい「弄便」への対応

「弄便」とは、認知症などにより、排泄物を適切に処理することが困難になった方が、便を触ったり、弄んだりする行為を指します。これは介護の現場でしばしば見られる行動であり、対応に苦慮する介護職員も多いのではないでしょうか。
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介護の現場で知る「海馬」と認知症の関係

私たちの脳の奥深くには、タツノオトシゴに似た形をした「海馬」と呼ばれる小さな器官が存在します。小さくとも、海馬は記憶の形成と空間認知において非常に重要な役割を担っています。 海馬は、私たちが日々経験する出来事や学習した情報を一時的に保管し、長期的な記憶として脳の他の部分に定着させる役割を担っています。例えば、昨日食べた夕食の内容や、初めて自転車に乗った日の記憶は、海馬の働きによって鮮明に思い出すことができます。また、海馬は空間認知にも深く関わっており、見慣れた場所に迷わずに行くことができるのも、海馬が空間的な情報を処理しているおかげです。
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認知症の異食行動:原因と対策

認知症の症状として、「異食」と呼ばれる摂食行動の異常が見られることがあります。異食とは、通常食べないものを口に入れてしまう行動のことを指します。食べ物ではないもの、例えば、紙や布、プラスチック、石などを口にしてしまうことがあります。 認知症の方が異食行動を起こす原因は、まだはっきりと解明されていません。しかし、脳の機能低下によって、「食欲を制御する機能」や「食べ物の認識力」が低下することが関係していると考えられています。また、栄養不足や精神的な不安などが原因で異食行動が現れることもあります。
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介護の現場から見る周辺症状

認知症の中核症状は、記憶障害や見当識障害、判断力や理解力の低下など、脳の機能が衰えることで直接的に現れる症状を指します。一方で、周辺症状は、中核症状によって引き起こされる行動や心理面の変化を指します。具体的には、徘徊や暴力、幻覚、妄想、抑うつ状態、睡眠障害、不安、焦燥感、興奮などが挙げられます。 周辺症状は、認知症の方を取り巻く環境や、介護者との関わり方によって大きく変化する点が特徴です。そのため、症状を抑えるためには、薬物療法だけでなく、環境調整や介護者の対応が非常に重要となります。
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認知症のサイン?「常同行動」を知ろう

「常同行動」とは、目的がない、または目的が不明瞭な行動を繰り返し行ってしまう状態のことです。例えば、同じ言葉を何度も繰り返したり、意味のない動作を長時間続けたりするなどが挙げられます。誰にでも見られる行動ではありますが、認知症の症状として現れることも少なくありません。認知症が原因で脳の機能が低下すると、この常同行動が現れやすくなるといわれています。
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まだら認知症:症状と理解のための基礎知識

まだら認知症は、認知症の一種ですが、アルツハイマー病とは異なる特徴を持っています。アルツハイマー病では、記憶力や思考力など、さまざまな認知機能が徐々に低下していくのに対し、まだら認知症は、認知機能の一部がまだら状に障害される点が特徴です。具体的には、ある特定の能力は保たれている一方で、他の能力は著しく低下している、といった状態が見られます。そのため、周囲からは認知症とは気づかれにくい場合もあり、診断が難しいケースも少なくありません。
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若年性認知症:知っておきたいこと

若年性認知症とは、65歳未満で発症する認知症のことを指します。一般的に認知症は高齢者の病気というイメージが強いですが、働き盛りや子育て世代など、比較的若い世代でも発症する可能性があります。 アルツハイマー病やレビー小体型認知症、血管性認知症など、原因となる病気は高齢者の認知症と同様ですが、若年期に発症することで、仕事や家庭、経済的な問題など、高齢者とは異なる困難を抱えるケースが多く見られます。
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知っておきたい認知症:ピック病とは?

ピック病は、認知症を引き起こす病気の一つです。認知症の中でも、アルツハイマー病に次いで多いとされる「前頭側頭型認知症」に分類されます。アルツハイマー病は、物忘れの症状が有名ですが、ピック病は、行動や性格の変化、言葉の理解や発語が困難になるなどの症状が特徴です。ピック病は、脳の前頭葉と側頭葉という部分が萎縮していくことで、このような症状が現れると考えられています。原因はまだはっきりと解明されていませんが、遺伝的な要因や環境的な要因が関係していると考えられています。
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認知症でも大丈夫?手続き記憶と介護

「あれ?さっき財布どこに置いたっけ?」 と、もの忘れが多い認知症の方を介護されているご家族なら、このような経験は少なくないのではないでしょうか? 認知症になると、言葉で覚えられる記憶(エピソード記憶)は衰えていきますが、体で覚えている記憶(手続き記憶)は比較的長く保たれると言われています。 このページでは、手続き記憶の特徴や、介護にどのように活かせるか、具体的な例を交えて解説していきます。
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介護における「徘徊」:その背景と対応について

「徘徊」という言葉は、しばしば高齢者や認知症の方に見られる行動と結びつけられます。しかし、「徘徊」とは単に目的もなく歩き回る行動を指すのではありません。 徘徊には、本人に自覚のないまま、何らかの目的や必要性があって行われている場合も多いのです。例えば、トイレに行きたい、何かを探している、過去の記憶に基づいて自宅に帰ろうとしているなど、様々な理由が考えられます。重要なのは、「徘徊」を問題行動として捉えるのではなく、その背景にある思いや原因を理解しようと努めることです。
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知っておきたい!認知症の基礎知識

認知症とは、物忘れなどの認知機能障害によって日常生活に支障が出ている状態を指します。ただし、単なる加齢による物忘れとは異なり、脳の細胞が損傷を受けることで引き起こされる病気の一つです。 認知症は、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など、いくつかの種類に分類されます。それぞれのタイプによって症状や進行の程度は異なります。 認知症は決して恥ずべき病気ではありません。早期発見、早期治療によって症状の進行を遅らせ、その人らしい生活を長く続けることが可能です。認知症について正しく理解し、適切な対応をすることが大切です。
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認知症検査のHDS-Rとは?9つの質問で簡単にチェック

HDS-Rは、改訂長谷川式簡易知能評価スケールと呼ばれる認知症の簡易検査です。病院や介護施設などで広く使われている検査で、9つの質問に答えるだけで、認知機能を評価することができます。 この検査は、あくまでスクリーニング検査であり、確定診断を行うものではありません。しかし、短時間で簡単に認知機能の状態を把握できるため、認知症の早期発見に役立ちます。もし、検査結果に不安を感じたら、医療機関を受診し、専門医の診断を受けるようにしましょう。
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老老介護を超えて?「認認介護」のリスクと対策

高齢化が急速に進む日本では、介護を必要とする高齢者が増え続けています。そして、その介護を担う家族も高齢化しており、「老老介護」という言葉が社会問題となって久しいです。しかし近年、老老介護よりもさらに深刻な問題として、「認認介護」という言葉が注目を集めています。 「認認介護」とは、認知症の症状がある高齢者が、同じく認知症の配偶者やパートナーを介護する状況を指します。介護する側、される側双方に認知機能の低下が見られるため、日常生活を送ること自体に支障が出るケースも少なくありません。例えば、薬の飲み忘れや火の不始末、徘徊といったリスクが高まり、命に関わる事故に繋がる可能性も孕んでいます。 認認介護は、周囲から気づかれにくいという点も大きな問題です。プライバシーの問題もあり、家族や親族であっても、詳細な状況を把握することが難しい場合があります。また、認知症の当事者は、自身の状況を客観的に理解することが困難なため、外部に助けを求めることも容易ではありません。
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認知症の「歩き回り」:理解と対応のポイント

認知症の方が aimlessly に歩く行動は、従来「徘徊」と呼ばれ、問題行動と捉えられてきました。しかし、近年では「徘徊」という言葉が持つネガティブなイメージを払拭し、本人の視点に立った理解と対応が必要との認識が広まっています。 そこで近年では「徘徊」という言葉ではなく、「歩き回り」という言葉が使われるようになっています。「歩き回り」は、認知症の方が何らかの目的や必要性があって歩いている行動と捉えられます。目的が明確でない場合や、周囲からは理解しにくい場合もありますが、本人にとっては意味のある行動である可能性があります。
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「もの盗られ妄想」と向き合うには?

「あれ?私の財布がない!盗まれた!」 認知症の方を介護していると、このような訴えを耳にする機会があるかもしれません。 これは、実際には盗まれていないにも関わらず、「誰かに物を盗まれた」と強く思い込んでしまう「もの盗られ妄想」と呼ばれる症状である可能性があります。 もの盗られ妄想は、認知症によって記憶力や判断力が低下することで起こると考えられています。 本人はいたって真剣に訴えているため、周囲の人間はどのように対応すべきか戸惑ってしまうケースも少なくありません。
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介護の現場で知っておきたい「BPSD」とは?

BPSDとは、「Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia」の略称で、日本語では「認知症の行動・心理症状」と訳されます。具体的には、認知症の方が、周辺環境や身体の状態、日々の生活のリズムの変化などによって引き起こされる、行動面や心理面のさまざまな症状を指します。 BPSDは、介護する側にとって大きな負担となることがあります。例えば、徘徊や暴力、幻覚、妄想、介護拒否といった症状がみられるようになり、適切な対応が難しいと感じる場面も少なくありません。 BPSDの起こる原因は、認知機能の低下だけではありません。身体的な病気や痛み、服用している薬の影響、環境の変化、人間関係のストレスなど、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。そのため、BPSDの症状を理解し、その背景にある原因を探ることが、介護する上で非常に重要になります。
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知って備える レビー小体病

レビー小体病は、脳の神経細胞に異常なたんぱく質「レビー小体」が溜まることで発症する病気です。 アルツハイマー病に次いで多い認知症として知られており、進行すると記憶障害や行動異常、自律神経症状、パーキンソン症状など、さまざまな症状が現れます。 レビー小体病は、症状が多岐にわたり、症状の出方も個人差が大きいため、診断が難しい病気としても知られています。
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知っておきたい!アルツハイマー型認知症治療薬の現状

アルツハイマー型認知症治療薬とは、認知症の中でも最も患者数が多いアルツハイマー型認知症の進行を遅らせたり、症状を改善したりすることを目的とした薬です。アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞が徐々に壊れていくことで、記憶力や思考力など cognitive function が低下していく病気です。 現在のところ、アルツハイマー型認知症を完全に治す薬はありません。しかし、症状の進行を遅らせたり、日常生活の支障を軽減したりする薬は開発されており、患者さんの QOL (生活の質) を維持するために重要な役割を担っています。
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認知症の重症度を見極める~N式老年者用精神状態尺度~

N式老年者用精神状態尺度は、認知症の検査として広く用いられている簡易認知機能検査です。1975年に日本の神経精神医学の権威である内田勇氏によって開発されました。この検査は、認知症の重症度を評価するために用いられ、日常生活における認知機能の程度を把握することができます。 N式老年者用精神状態尺度は、30点満点で採点され、点数が高いほど認知機能は高く、低いほど認知機能の低下が疑われます。検査項目としては、見当識、記憶、計算力、言語機能、視空間認知など、認知機能の様々な側面を評価するものが含まれています。
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介護と向き合う: 被害妄想への理解

介護する側、される側、どちらにとっても、日々の生活の中で戸惑いや困難を感じるのは珍しいことではありません。特に、認知症の症状として現れる「被害妄想」は、介護する側にとって大きな負担となるだけでなく、介護を受ける側にとっても不安や恐怖を増大させる要因となりえます。では、被害妄想とは一体どのような状態を指すのでしょうか?
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介護の現場における「妄想」への理解

介護の現場において、利用者が現実とは異なる認識や信念を持つ「妄想」は、決して珍しいものではありません。 認知症の症状の一つとして現れることもあれば、身体的な病気や薬の副作用、環境の変化によって一時的に生じることもあります。 妄想の内容は、誰かに物を盗まれたと訴える「被害妄想」、実際にはいない人が見える「幻視」、自分が偉大な存在だと信じる「誇大妄想」など、多岐にわたります。 重要なのは、妄想を訴える高齢者を頭ごなしに否定したり、叱責したりするのではなく、彼らの不安や恐怖に寄り添い、安心感を与えることです。
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知っておきたいアルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症とは、認知症の中で最も患者数が多い病気です。脳の神経細胞が徐々に壊れていくことで、 記憶力や思考力、判断力といった認知機能が低下し、日常生活に支障が出てくる病気です。代表的な症状としては、「物忘れ」が挙げられます。
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介護の基礎知識:失見当識を理解する

失見当識とは、時間、場所、または人物に関する見当識(自分が置かれている状況を正しく認識すること)が困難になる状態を指します。 これは、認知症の症状の一つとしてよく見られます。 例えば、今日が何月何日か分からなくなったり、自分がどこにいるのか分からなくなったり、家族や介護者を誰だか分からなくなったりすることがあります。このような状況は、本人に大きな不安や混乱を与えるだけでなく、介護者にとっても対応が難しい場合があります。