誤嚥を防ぐ！濃厚流動食とは？

誤嚥を防ぐ！濃厚流動食とは？

濃厚流動食とは何か

食べ物を飲み込む力が弱まってしまった方にとって、食事は楽しみであると同時に、誤嚥のリスクと隣り合わせの行為でもあります。口にしたものがうまく食道へ送られず、気管に入ってしまう誤嚥は、肺炎などの深刻な病気につながる可能性もあるため、注意が必要です。

そこで注目されているのが「濃厚流動食」です。 濃厚流動食とは、その名の通り、通常の流動食よりもとろみを強くした食事のことを指します。飲み込みやすさを追求することで、安全に栄養を摂取することを目指します。

濃厚流動食が必要な理由

加齢や病気の影響で、食べ物をうまく飲み込めなくなることがあります。これを「嚥下障害」と言います。嚥下障害は、食事を喉に詰まらせたり、誤って気管に食べ物が入ってしまう「誤嚥」のリスクを高めます。誤嚥は肺炎などの深刻な病気を引き起こす可能性があり、健康的な生活を送る上で大きなリスクとなります。

そこで重要になるのが、飲み込みやすく誤嚥のリスクを減らすための食事形態である「濃厚流動食」です。濃厚流動食は、通常の食事をミキサーなどでペースト状にし、とろみをつけたものです。とろみがつくことで、食べ物がゆっくりと喉を通るため、誤嚥を防ぐ効果が期待できます。また、栄養価の高い状態を保ちながら、飲み込みやすく調整できるため、健康状態や嚥下機能が低下した方でも、安全に栄養を摂取することができます。

濃厚流動食の作り方

濃厚流動食は、食べ物をミキサーやフードプロセッサーで細かくするだけでなく、とろみをつけることで、飲み込みやすくした食事です。ここでは、基本的な作り方と、さらに食べやすくするためのポイントをご紹介します。

1. 食材を細かくする
まず、普段通りの食事をミキサーやフードプロセッサーにかけます。この時、肉や野菜など、食材の種類ごとに分けておくのがポイントです。

2. とろみをつける
細かくした食材を鍋に移し、加熱しながらとろみ剤で調整します。とろみの強さは、飲み込む力に合わせてください。目安としては、お箸ですくってゆっくりと落ちていくくらいが良いでしょう。

3. 味付けや盛り付けを工夫する
とろみがついたら、味見をして薄い場合は調味料で調整します。また、見た目が単調にならないように、食材の色を生かしたり、型抜きを使ったりするのも良いでしょう。

ポイント
* とろみ剤は、ダマにならないように、少しずつ加えながら混ぜましょう。
* 加熱しすぎると、とろみが強くなりすぎる場合があるので注意が必要です。
* 味や見た目に変化を加えることで、食事を楽しむことができます。

濃厚流動食の種類と選び方

一口に濃厚流動食と言っても、実は様々な種類があります。大きく分けると、とろみ調整食品を使ってご自身で作るタイプと、あらかじめ飲み込みやすいように調整された市販の製品の二つがあります。

とろみ調整食品を使う場合は、好みの濃度に調整できるというメリットがあります。一方、市販の濃厚流動食は、手軽に栄養摂取ができる点が魅力です。

最適な濃厚流動食は、誤嚥のリスクの程度や、必要な栄養素、そして個人の好みによって異なります。医師や管理栄養士などの専門家に相談しながら、安全で美味しく食事ができるように、適切な濃厚流動食を選びましょう。

濃厚流動食に関する注意点

濃厚流動食は、飲み込みやすいように工夫された食事ですが、いくつか注意点があります。まず、濃厚流動食は、通常の食事よりも水分量が少ないため、水分補給をしっかりと行う必要があります。脱水症状を防ぐため、こまめな水分摂取を心がけましょう。また、市販の製品を利用する場合、栄養バランスが偏っている可能性があります。医師や栄養士に相談し、必要があれば栄養補助食品などを活用して、栄養バランスを整えるようにしましょう。さらに、濃厚流動食は、見た目や香りが通常の食事と異なるため、食欲がわかないと感じる方もいるかもしれません。盛り付けや彩りを工夫したり、温かいものは温かく、冷たいものは冷たく提供するなど、少しでも食事を楽しめるように工夫してみましょう。最後に、濃厚流動食を継続する場合は、定期的に医師の診察を受け、体調や栄養状態をチェックすることが大切です。