介護の「措置制度」って？仕組みとメリット・デメリットを解説

介護の「措置制度」って？仕組みとメリット・デメリットを解説

介護における措置制度とは？

介護保険制度には、大きく分けて「居宅サービス計画作成制度(計画作成制度)」と「措置制度」の二つがあります。
近年利用者が増加している計画作成制度とは異なり、措置制度は介護保険制度がスタートした2000年から存在する制度です。
利用者は減少傾向にありますが、現在でも条件を満たせば措置制度を利用することができます。では、措置制度とはどのような制度なのでしょうか。

措置制度の仕組み

措置制度は、市区町村が利用者の状況に応じて介護サービス事業者や施設を選択し、サービス計画を作成する制度です。
利用者は、原則として市区町村が決定したサービス事業者を利用することになります。

具体的な流れは以下の通りです。

1. 要介護認定の申請
2. 訪問調査や審査会を経て、要介護度が決定
3. 市区町村が、利用者の希望や状況、サービス提供事業者の空き状況などを考慮し、サービス内容や事業者を決定
4. サービス利用開始

このように、措置制度では、利用者自身はサービス事業者を選ぶことができないという特徴があります。

措置制度のメリット

措置制度を利用するメリットは、いくつかあります。
まず、行政がサービス事業者や施設を選んでくれるため、利用者本人や家族が自ら探す手間が省けます。介護サービスは種類が豊富で、どのサービスを利用すべきか迷ってしまうことも少なくありません。その点、措置制度なら行政が適切なサービスを選んでくれるので安心です。
また、サービスの利用料が低所得者には負担しやすい点もメリットです。介護保険サービスは原則として利用料の1～3割を自己負担することになりますが、所得が低い場合は負担割合が軽減されたり、あるいは無料になったりします。
さらに、緊急時にも迅速な対応を受けられるという安心感もあります。急な状態変化や入院など、 unforeseen な状況にも行政が迅速に対応し、必要なサービスを提供してくれます。

措置制度のデメリット

措置制度には、利用者側の視点で見ると、いくつかのデメリットも存在します。まず、介護サービスの提供事業者を自ら選ぶことができません。住んでいる municipalities が契約している事業者の中から、市区町村がサービス内容や事業者の空き状況などを考慮して決定するためです。そのため、希望する事業者やサービスを利用できない可能性があります。
また、サービス内容や時間が、利用者の希望に沿わない場合もあるという点もデメリットと言えるでしょう。利用者の状況や希望に最適なサービスが受けられないケースも考えられます。
さらに、サービスの質が低いと感じても、事業者を変更することが容易ではありません。変更を希望する場合は、市区町村に相談し、改めて assessment を受ける必要があるからです。

措置制度のこれから

介護保険制度において、これまで「措置制度」が主流でしたが、近年では利用者の選択の幅を広げる「契約制度」への移行が進んでいます。これは、利用者一人ひとりのニーズに合わせたサービス提供を促進するためです。

しかし、措置制度には、行政がサービス内容や事業者を決定することで、利用者に必要なサービスが確実に提供されるというメリットもあります。そのため、今後、契約制度が主流となっていく中でも、措置制度の必要性は残ると考えられています。

具体的には、契約制度に移行した地域においても、緊急時や災害時など、迅速なサービス提供が必要な場合に備え、措置制度を維持するなどの対応が検討されています。また、利用者の状況やニーズに応じて、措置制度と契約制度を柔軟に組み合わせることができるような仕組みづくりも求められています。