精神疾患

福祉用語について

介護とパニック障害:知っておきたいこと

介護の現場では、肉体的にも精神的にも大きな負担がかかります。そのため、介護をする側がパニック障害を発症してしまうケースも少なくありません。パニック障害とは、突然強い不安や恐怖に襲われ、動悸や息切れ、めまいなどの身体症状が現れる精神疾患です。介護現場では、過重な仕事量、不規則な生活リズム、人間関係のストレスなどが重なり、パニック障害の発症リスクを高める可能性があります。また、介護する相手との関係性に悩んだり、将来への不安を感じたりすることも、発症のきっかけとなることがあります。
高齢者の病気について

介護と陰性症状:理解と対応のポイント

陰性症状とは、感情の平板化、意欲の低下、コミュニケーションの困難さなど、本来あるべきものが失われたような状態を指します。統合失調症の代表的な症状の一つであり、周囲の人々からは「怠けている」「やる気がない」などと誤解されやすいという特徴があります。陰性症状は、本人にとっても苦痛を伴うものであり、日常生活や社会生活に大きな支障をきたす可能性があります。
福祉用語について

介護の現場で見過ごされやすい『強迫』とは?

介護の現場において、利用者の行動が「いつもの癖」「性格だから」と安易に判断されてしまうことがあります。しかし、その行動の背景には、「強迫」という心の病が隠れている可能性も考えなければなりません。強迫とは、不安や恐怖にさいなまれ、特定の行動や思考を繰り返してしまう精神疾患です。 では、介護の現場において、どのようにすれば強迫のサインを見つけることができるのでしょうか。重要なのは、利用者の行動を注意深く観察することです。例えば、手洗いや確認行為を必要以上に繰り返したり、特定の物事に強いこだわりを見せたりする場合には、強迫の可能性を疑ってみることが大切です。また、利用者本人から「不安で仕方がない」「止めたいのに止められない」といった訴えがあった場合には、強迫のサインを見逃さないよう、より一層注意を払う必要があります。
高齢者の病気について

介護と向き合う:鬱病の理解を深める

介護は、喜びややりがいを感じる一方、大きな負担を伴うこともあります。肉体的疲労だけでなく、精神的なストレスから、介護者は鬱病を発症するリスクと隣り合わせです。 厚生労働省の調査によると、介護者の約3人に1人が鬱状態にあるとも言われており、決して他人事ではありません。 鬱病は、気分の落ち込みや興味・喜びの喪失といった症状が現れる心の病気です。「疲れているだけ」「気合が足りない」といった精神論だけで片付けられるものではなく、適切なケアと治療が必要となります。 介護と鬱病の関係を理解し、早期発見・早期対応を心がけることが、介護者自身の心身の健康、そしてより良い介護環境の実現へと繋がります。
福祉用語について

介護とPTSD:知っておきたいこと

介護の現場は、時に過酷な状況が連続することもあり、そこで働く人々の精神的な健康状態が懸念されています。実際に、介護職は他の職業に比べてPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症するリスクが高いという調査結果も出ています。 介護現場でPTSDを発症する原因としては、慢性的な人手不足による過重労働や、利用者さんの死に直面する、暴言や暴力といったハラスメントを受けるなど、様々な要因が考えられます。 PTSDは、不眠や悪夢、不安感、イライラしやすくなる、集中力の低下といった症状を引き起こし、日常生活や仕事に大きな支障をきたす可能性があります。 介護職は、人の命と生活を支える尊い仕事です。しかし、その一方で、精神的な負担が大きいという現実も認識し、介護職の心のケアにも目を向ける必要があるでしょう。
福祉用語について

介護と向き合う:統合失調症理解の一歩

統合失調症は、思考、感情、行動に影響を及ぼす深刻な精神疾患です。この病気は、現実を歪めて認識したり、周囲と調和のとれた思考や行動をとることが困難になるなど、さまざまな症状を引き起こします。 具体的な症状としては、幻覚や妄想といった「陽性症状」と、感情の平板化や意欲の低下といった「陰性症状」に大きく分けられます。陽性症状は、周囲から見て分かりやすい症状である一方、陰性症状は周囲から気づかれにくく、本人も自覚しにくいという特徴があります。 統合失調症の原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、遺伝的要因や脳内の神経伝達物質の異常、ストレスなどの環境要因が複合的に影響していると考えられています。 重要なのは、統合失調症は決して特別な病気ではなく、適切な治療と支援を受けることで、症状をコントロールし、社会生活を送ることができるということです。
介護に関する制度について

自立支援医療で治療費負担を軽減

自立支援医療とは、精神疾患のある方が安心して治療を継続できるよう、医療費の負担を軽減する公的な制度です。この制度を利用することで、診察や薬代、入院費などが軽減され、経済的な負担を軽くしながら治療に専念することができます。 自立支援医療は、精神疾患の治療のために、通院による精神医療を継続的に必要とする方が対象となります。制度の利用には、いくつかの条件や手続きがありますが、申請が認められれば、医療費の自己負担が原則1割になります。
福祉用語について

介護現場における精神安定剤:理解と適切な対応

精神安定剤は、不安や緊張、興奮といった精神的な症状を和らげ、穏やかな状態に導くための薬です。 主に不安障害やうつ病、不眠症などの治療に使われますが、介護現場では、認知症の周辺症状(BPSD)に対する対応として使用されることもあります。 具体的には、興奮や攻撃性、幻覚、妄想といった症状を抑制し、介護する側とされる側の双方にとって安全で穏やかな環境を作ることを目的としています。
福祉用語について

介護現場におけるDSM:基礎知識と活用法

DSMとは、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの略称で、日本語では「精神障害の診断と統計マニュアル」と呼ばれています。これは、アメリカ精神医学会が発行している、精神障害を診断するための基準をまとめたものです。 DSMは、精神障害を共通の基準で診断できるように、症状や経過などを詳しく定義しています。 DSMを用いることで、医師や看護師、そして介護職など、異なる立場の人々が共通の理解のもとで利用者の方のケアにあたることが可能になります。 介護現場では、認知症やせん妄、うつ病など、様々な精神的な困難を抱える方への対応が必要となります。DSMを正しく理解し、活用することで、より適切で質の高いケアを提供できるようになるでしょう。
高齢者の病気について

「感情失禁」と向き合う:原因と対処法

あなたは、些細なことで急に泣き出してしまったり、逆に、不適切な場面で大笑いしてしまったりする経験はありませんか? もしそうした経験があり、日常生活に支障が出ていると感じるならば、それは「感情失禁」のサインかもしれません。 感情失禁とは、自分の意志とは関係なく、感情の表出がコントロールできなくなってしまう状態を指します。喜怒哀楽といった感情の表現は人間らしさの一つですが、それが過剰になり、制御不能になってしまうと、社会生活を送る上で大きな困難を伴う可能性があります。