認知症

福祉用語について

「痴呆症」から「認知症」へ: その理由と背景

「痴呆症」という言葉は、かつてアルツハイマー病などの脳の病気によって引き起こされる、記憶力や思考力の低下などを示す一般的な呼称でした。しかし、この言葉は医学的な用語であると同時に、差別や偏見を助長する表現として、近年問題視されるようになりました。具体的には、「痴呆」という言葉には、「知能が低い」「何も理解できない」といったネガティブなイメージが付随し、患者さんやそのご家族を傷つけたり、社会的な偏見を生み出したりする可能性がありました。
認知症について

認知症のサイン?「常同行動」を知ろう

「常同行動」とは、目的がない、または目的が不明瞭な行動を繰り返し行ってしまう状態のことです。例えば、同じ言葉を何度も繰り返したり、意味のない動作を長時間続けたりするなどが挙げられます。誰にでも見られる行動ではありますが、認知症の症状として現れることも少なくありません。認知症が原因で脳の機能が低下すると、この常同行動が現れやすくなるといわれています。
介護に関する制度について

成年後見制度を理解しよう

成年後見制度には、大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」の二つがあります。このうち、法定後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などによって判断能力が十分でない方々を対象に、家庭裁判所が法律面や生活面で支援が必要と判断した場合に開始される制度です。 家庭裁判所によって選任された成年後見人などが、本人(被後見人)に代わって契約などの法律行為を行ったり、本人の財産を管理したりします。これは、判断能力が不十分な方が、不利益を被ったり、権利を侵害されたりすることを防ぎ、安心して生活できるようにするための制度と言えるでしょう。
認知症について

知っておきたい認知症:ピック病とは?

ピック病は、認知症を引き起こす病気の一つです。認知症の中でも、アルツハイマー病に次いで多いとされる「前頭側頭型認知症」に分類されます。アルツハイマー病は、物忘れの症状が有名ですが、ピック病は、行動や性格の変化、言葉の理解や発語が困難になるなどの症状が特徴です。ピック病は、脳の前頭葉と側頭葉という部分が萎縮していくことで、このような症状が現れると考えられています。原因はまだはっきりと解明されていませんが、遺伝的な要因や環境的な要因が関係していると考えられています。
福祉用語について

寄り添う介護:身上監護の基礎知識

「身上監護」って、耳慣れない言葉かもしれませんね。介護の現場ではよく使われますが、日常生活ではあまり聞く機会がないでしょう。簡単に言うと、「身上監護」とは、介護が必要な方が安全に、そして安心して日常生活を送れるように、常に寄り添いながら見守り、必要なサポートをすることを指します。 例えば、食事や排泄の介助、更衣のサポート、起床や就寝の際の assistance などが挙げられます。 これらの行動は、単なる「お世話」ではなく、その方の尊厳を守りながら、自立を支援し、生活の質を高めるための重要な役割を担っています。
認知症について

認知症検査のHDS-Rとは?9つの質問で簡単にチェック

HDS-Rは、改訂長谷川式簡易知能評価スケールと呼ばれる認知症の簡易検査です。病院や介護施設などで広く使われている検査で、9つの質問に答えるだけで、認知機能を評価することができます。 この検査は、あくまでスクリーニング検査であり、確定診断を行うものではありません。しかし、短時間で簡単に認知機能の状態を把握できるため、認知症の早期発見に役立ちます。もし、検査結果に不安を感じたら、医療機関を受診し、専門医の診断を受けるようにしましょう。
認知症について

老老介護を超えて?「認認介護」のリスクと対策

高齢化が急速に進む日本では、介護を必要とする高齢者が増え続けています。そして、その介護を担う家族も高齢化しており、「老老介護」という言葉が社会問題となって久しいです。しかし近年、老老介護よりもさらに深刻な問題として、「認認介護」という言葉が注目を集めています。 「認認介護」とは、認知症の症状がある高齢者が、同じく認知症の配偶者やパートナーを介護する状況を指します。介護する側、される側双方に認知機能の低下が見られるため、日常生活を送ること自体に支障が出るケースも少なくありません。例えば、薬の飲み忘れや火の不始末、徘徊といったリスクが高まり、命に関わる事故に繋がる可能性も孕んでいます。 認認介護は、周囲から気づかれにくいという点も大きな問題です。プライバシーの問題もあり、家族や親族であっても、詳細な状況を把握することが難しい場合があります。また、認知症の当事者は、自身の状況を客観的に理解することが困難なため、外部に助けを求めることも容易ではありません。
認知症について

介護の現場から見る周辺症状

認知症の中核症状は、記憶障害や見当識障害、判断力や理解力の低下など、脳の機能が衰えることで直接的に現れる症状を指します。一方で、周辺症状は、中核症状によって引き起こされる行動や心理面の変化を指します。具体的には、徘徊や暴力、幻覚、妄想、抑うつ状態、睡眠障害、不安、焦燥感、興奮などが挙げられます。 周辺症状は、認知症の方を取り巻く環境や、介護者との関わり方によって大きく変化する点が特徴です。そのため、症状を抑えるためには、薬物療法だけでなく、環境調整や介護者の対応が非常に重要となります。
介護サービスについて

認知症ケアの鍵?『グループケア』で安心生活

認知症と診断されると、不安な気持ちになる方が多いのではないでしょうか? 認知症と共に生きる上で、その人らしく穏やかに過ごすためには、周囲の理解と適切なケアが欠かせません。近年、注目されているケアの方法の一つに「グループケア」があります。耳慣れない言葉かもしれませんが、この「グループケア」は、認知症の方々が安心して笑顔で過ごせる可能性を秘めているのです。では、具体的に「グループケア」とはどのようなケアなのでしょうか?
認知症について

認知症サポーターって?できることをわかりやすく解説

認知症サポーターとは、認知症について正しく理解し、認知症の人やその家族を温かく見守る応援者のことです。特別な知識や技術は必要ありません。誰でも、認知症サポーター養成講座を受講することで、サポーターになることができます。 認知症は誰もがかかる可能性のある病気です。認知症の人を地域で支え、安心して暮らせる社会を作るために、まずは認知症について正しく理解することが大切です。
高齢者の病気について

認知症リスクを高める?ラクナ梗塞とは

ラクナ梗塞とは、脳の深部にある細い血管が詰まることで起こる脳梗塞の一種です。脳の深部には、栄養や酸素を脳の深部に供給する細い血管が網目状に広がっています。この細い血管が動脈硬化などで詰まると、その先の脳組織が壊死してしまいます。これがラクナ梗塞です。ラクナ梗塞は、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がリスク因子となります。また、加齢によっても発症リスクは高まります。 ラクナ梗塞は、詰まった血管が細いことや、脳の深部で起こることから、症状が出にくいという特徴があります。そのため、気づかないうちに発症していることも少なくありません。自覚症状がないまま放置すると、認知症のリスクが高まる可能性があります。
認知症について

知っておきたいアルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症とは、認知症の中で最も患者数が多い病気です。脳の神経細胞が徐々に壊れていくことで、 記憶力や思考力、判断力といった認知機能が低下し、日常生活に支障が出てくる病気です。代表的な症状としては、「物忘れ」が挙げられます。
認知症について

知って安心!脳血管性認知症の基礎知識

脳血管性認知症は、脳卒中などが原因で脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳細胞に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなり、認知機能が低下してしまう病気です。アルツハイマー型認知症に次いで多い認知症として知られています。 脳の損傷を受けた場所によって症状は異なり、記憶障害や言語障害、注意障害、遂行機能障害など、さまざまな症状が現れます。
認知症について

介護の現場で見られる「作話」とは?

作話とは、実際にはなかったことを、事実のように話すことを指します。介護の現場では、認知症の症状として見られることが多く、本人は事実と信じ込んで話しているため、嘘とは異なります。
認知症について

軽度認知障害(MCI)とは?早期発見で認知症予防

軽度認知障害(MCI)とは、加齢に伴いもの忘れが増えたと感じながらも、日常生活に支障が出るほどの症状はなく、認知症には診断されない状態のことです。具体的には、同じことを何度も聞いてしまったり、新しいことを覚えにくくなったり、以前は簡単にできたことが難しくなったりするといった症状が現れます。 重要なのは、MCIは必ずしも認知症に進行するわけではないということです。MCIと診断された方のうち、年間約5~10%程度が認知症へと進行すると言われています。残りの方は、MCIの症状が改善したり、長期間にわたって変化が見られない場合もあります。
高齢者の病気について

介護とプリオンの関係とは?

近年、高齢化社会の進展とともに介護の重要性が高まっていますが、それと同時に、介護現場における感染症対策の必要性も強く叫ばれています。中でも、プリオンと呼ばれる特殊な感染性物質による疾患は、その発症メカニズムの複雑さや、有効な治療法が確立されていないことから、特に注目されています。そこで今回は、介護とプリオンの関係について、基礎知識から予防法まで詳しく解説していきます。
高齢者の病気について

介護と向き合う:進行性核上性麻痺を知る

進行性核上性麻痺(PSP)は、脳の特定の部分が徐々に萎縮していくことで、さまざまな神経症状を引き起こす難病です。 歩行障害や眼球運動障害、姿勢保持障害などが特徴的で、パーキンソン病と誤診されることも少なくありません。 原因は不明で、根本的な治療法はまだ見つかっていません。 ゆっくりと進行していく病気ではありますが、徐々に日常生活に支障が出るようになり、介護が必要となるケースがほとんどです。
高齢者の病気について

知っておきたい病気「亜急性硬化性全脳炎」

亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は、麻疹ウイルスによって引き起こされる、進行性の脳の病気です。麻疹ウイルスは、麻疹(はしか)の原因となるウイルスです。通常、麻疹は小児期に発症し、発熱、咳、発疹などの症状を引き起こします。しかし、まれに、麻疹ウイルスが脳に感染し、SSPEを引き起こすことがあります。 SSPEは、麻疹に感染してから数年から数十年後に発症することが特徴です。初期症状としては、性格変化、学習障害、記憶障害などが挙げられます。病気が進行するにつれて、けいれん、運動障害、視力障害、言語障害などが現れ、最終的には意識不明の状態に陥ります。 SSPEは非常にまれな病気ですが、発症すると重篤な経過をたどることが多いため、早期発見・早期治療が重要です。
認知症について

介護の基礎知識:失見当識を理解する

失見当識とは、時間、場所、または人物に関する見当識(自分が置かれている状況を正しく認識すること)が困難になる状態を指します。 これは、認知症の症状の一つとしてよく見られます。 例えば、今日が何月何日か分からなくなったり、自分がどこにいるのか分からなくなったり、家族や介護者を誰だか分からなくなったりすることがあります。このような状況は、本人に大きな不安や混乱を与えるだけでなく、介護者にとっても対応が難しい場合があります。
福祉用語について

介護に役立つクローズドクエスチョン活用術

クローズドクエスチョンとは、「はい」「いいえ」や「〇〇が好きですか?」のように、決まった選択肢の中から答えを選んでもらう質問のことです。 介護の現場では、相手に負担をかけずに、必要な情報を的確に得るために、クローズドクエスチョンが非常に役立ちます。例えば、「お腹が空きましたか?」と聞くよりも「何か食べたいものはありますか?」と尋ねることで、相手の好みや希望をより具体的に把握することができます。
高齢者の健康のために

低温やけどにご用心!介護の現場で注意すべきこと

低温やけどとは、体温よりも熱い40~50℃程度のものが長時間皮膚に触れることで、皮膚の奥深くまで損傷してしまうやけどのことです。一見、低温なので安全そうに思えますが、気づかないうちに重症化してしまうことが多く、注意が必要です。 高齢者や体の不自由な方、感覚が鈍くなっている方などは特に注意が必要です。なぜなら、熱さを感じにくく、長時間同じ姿勢でいることが多いため、知らず知らずのうちに低温やけどをしてしまうリスクが高いからです。
福祉用語について

介護のアドボカシー:その役割と重要性

介護の現場において「アドボカシー」という言葉が使われる機会が増えてきました。では、アドボカシーとは一体どのような意味を持つのでしょうか?簡単に言うと、アドボカシーとは、ある人の権利や利益を守り、その人が自分らしく生活できるように支援することを意味します。介護の現場では、高齢者や障害者など、支援を必要とする方の代わりに、ご本人たちの意思を尊重し、権利を守り、より良い生活を送れるように支援する活動がアドボカシーと呼ばれます。
高齢者の病気について

介護の現場で知っておきたい「せん妄」

- 介護の現場で知っておきたい「せん妄」 -# せん妄とは?症状と原因を解説 「せん妄」は、意識が混濁し、思考や行動に異常が現れる状態のことです。高齢者、特に認知症の方によく見られます。介護の現場では、急な変化に戸惑い、対応に困ってしまうケースも少なくありません。そこで今回は、せん妄の症状と原因、そして適切な対応について詳しく解説していきます。
高齢者の病気について

知っておきたい老年症候群と予防ケア

老年症候群とは、加齢に伴い身体の様々な機能が低下することで起こる、様々な症状や状態のことを指します。高齢者によく見られる症状として、転倒・骨折、認知症、食欲不振、うつ、睡眠障害、排泄障害などがあります。これらの症状は、単独で現れることもあれば、複数の症状が複雑に絡み合っている場合もあり、高齢者の生活の質(QOL)を著しく低下させる要因となります。 老年症候群は、加齢だけが原因で起こるわけではありません。生活習慣病、運動不足、栄養の偏り、ストレス、社会的孤立なども大きく関係しています。そのため、生活習慣の改善や環境調整などによって予防できる可能性があると言えるでしょう。