
介護と防衛的退行期:理解と対応
人は誰しも、病気や怪我、老いなどによって、これまで当然のようにできていたことができなくなっていくことがあります。このような状況下では、不安や恐怖、ストレスを感じるのは当然のことです。そして、このような強いストレスに直面した際に、人は無意識のうちに自分自身を守るための反応を示すことがあります。これを「防衛機制」と呼びますが、介護の場面において、特に重要なのが「退行」という防衛機制です。 防衛的退行期とは、強いストレスから自身を守るため、無意識に幼児期の精神状態に戻ってしまうことを指します。具体的には、わがままになったり、感情の起伏が激しくなったり、まるで子どものように振る舞うようになることがあります。これは、介護される側が、無意識のうちに「弱っている自分」を表現し、周囲に助けを求めているサインとも言えるのです。