高齢者心理学

福祉用語について

介護と防衛的退行期:理解と対応

人は誰しも、病気や怪我、老いなどによって、これまで当然のようにできていたことができなくなっていくことがあります。このような状況下では、不安や恐怖、ストレスを感じるのは当然のことです。そして、このような強いストレスに直面した際に、人は無意識のうちに自分自身を守るための反応を示すことがあります。これを「防衛機制」と呼びますが、介護の場面において、特に重要なのが「退行」という防衛機制です。 防衛的退行期とは、強いストレスから自身を守るため、無意識に幼児期の精神状態に戻ってしまうことを指します。具体的には、わがままになったり、感情の起伏が激しくなったり、まるで子どものように振る舞うようになることがあります。これは、介護される側が、無意識のうちに「弱っている自分」を表現し、周囲に助けを求めているサインとも言えるのです。
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介護の現場における『心気』とその影響

介護の現場における「心気」とは、介護者が被介護者の症状や状態に対して過剰に不安を感じたり、自分自身にその症状が現れたと思い込んだりする状態を指します。これは、介護という仕事が肉体的にも精神的にも負担が大きく、ストレスを抱えやすい環境であることに起因すると考えられます。 例えば、被介護者の些細な体調変化に過敏に反応したり、自分自身も同様の症状が出たと感じて不安を訴えたりするケースが見られます。 重要なのは、こうした「心気」は決して介護者が怠惰であったり、心が弱いということではないということです。むしろ、真摯に介護に向き合い、責任感の強い人が陥りやすいと言えるでしょう。