介護の壁「病識」との向き合い方
介護について知りたい
先生、『病識』ってどういう意味ですか?介護の勉強をしていて出てきたんですが、よく分かりません。
介護の研究家
良い質問ですね。『病識』とは、簡単に言うと『自分が病気であると分かっていること』です。例えば、熱があって体がだるい時に『風邪を引いたかもしれない』と感じるのが病識の一つです。
介護について知りたい
なるほど。でも、病気になったら誰でも自分が病気だって分かりますよね?
介護の研究家
実はそうとも限らないんです。認知症の症状が出始めていたり、精神疾患を患っていたりすると、自分が病気であることを認識するのが難しい場合があります。このような場合、『病識が薄い』と言われ、治療が難しくなることもあります。
病識とは。
「病識」とは、介護の現場でよく使われる言葉で、自分が病気であることを自覚することを指します。具体的には、自分が病気にかかっている状態や、病気によって現れている症状、そして治療が必要であることなどを正しく認識している状態を指します。もし病識が薄い場合、本人は自分が健康だと信じ込んでしまい、適切な対処や治療を積極的に行わなくなってしまうため、病状が悪化する可能性があります。
介護現場における「病識」の重要性
介護が必要な状態になったとき、誰もがスムーズにそれを受け入れられるわけではありません。中には、「自分はまだ大丈夫」「病気ではない」と、現状を認めようとしない方もいます。これが、介護における「病識」の問題です。
特に介護現場において、利用者本人に病識がないことは、ケアを提供する上で大きな壁となります。例えば、必要な介助を拒否したり、リハビリへの参加に消極的になったりすることで、症状の悪化や介護者の負担増加につながることがあります。
また、病識の低さは、周囲との人間関係にも影響を及ぼす可能性があります。家族や介護スタッフの言葉に耳を傾けず、反発したり、攻撃的になったりすることで、信頼関係を築くことが難しくなる場合もあるでしょう。
そのため、介護現場では、利用者の方の病識に寄り添いながら、適切なケアを提供していくことが重要となります。
病識が薄いことによる影響とは?
病識とは、自分が病気であることを認め、自覚することを指します。介護の場面において、病気の当事者に病識が薄い場合、様々な問題が生じることがあります。
まず、治療やリハビリへの意欲が低くなる可能性があります。病気であることを認めなければ、治療の必要性も感じにくいため、医師や介護士の指導に従わなかったり、治療を拒否したりするケースも見られます。
また、周囲との摩擦が生じやすくなることも懸念されます。家族や介護者が病気の症状について指摘しても、本人がそれを受け入れなければ反発したり、怒ったりしてしまうことがあります。
さらに、病状の悪化や事故のリスクが高まる可能性も考えられます。例えば、認知症の症状が出ているにも関わらず、本人がそれを自覚していない場合、徘徊や金銭トラブルなどに巻き込まれる危険性があります。
病識の薄さは、介護者だけでなく、本人にとっても深刻な問題になりかねないのです。
病識を育むコミュニケーションのコツ
病気になった時、人は誰でも戸惑い、不安を抱くものです。特に、認知機能の低下などにより、自分の状態を客観的に理解することが難しい場合、治療や介護が必要なことを受け入れられず、周囲との摩擦が生じてしまうこともあります。このような状況を改善し、スムーズな介護を実現するためには、どのように病識を育むコミュニケーションをとれば良いのでしょうか?
家族ができること、専門機関との連携
介護が必要な状態になっても、本人がその状態を認められない、または病気や障害に対して自覚がないことがあります。これは「病識」の問題とされ、介護する家族にとって大きな壁となることがあります。
このような状況では、まず家族が焦らず、本人の気持ちを理解しようと努めることが大切です。頭ごなしに否定するのではなく、なぜ受け入れられないのか、不安や恐怖を感じていることはないか、じっくりと耳を傾けましょう。
それでも状況が改善しない場合は、専門機関に相談することも検討しましょう。医師やケアマネジャー、地域包括支援センターなどに相談することで、問題解決の糸口が見つかることがあります。専門家は、家族の状況や本人の状態に合わせて、適切なアドバイスやサポートを提供してくれます。
家族だけで抱え込まず、専門機関と連携しながら、本人が安心して療養生活を送れるように、共に歩んでいきましょう。
「病識」への理解がもたらす未来
「病識」とは、自分が病気であることを認識することを指します。介護の現場では、この「病識」が大きな壁となるケースが少なくありません。例えば、認知症の症状が進んでいるにも関わらず、本人がその状態を自覚していないために、介護を拒否したり、周囲とトラブルを起こしてしまうことがあります。
しかし、「病識」への理解を深めることで、介護する側とされる側の双方にとって、より良い未来を築くことが可能になります。例えば、本人の状態や気持ちを理解した上で、適切なコミュニケーション方法やケアの方法を工夫することで、穏やかな日常を送れるようになるかもしれません。また、周囲の人々が「病識」に対する正しい知識を持つことで、偏見や誤解のない、温かい社会の実現にも繋がると考えられます。