介護の現場で知っておきたい『不穏』への対応
介護について知りたい
先生、介護の用語で『不穏』ってどういう意味ですか?
介護の研究家
良い質問ですね。『不穏』は、周囲に対して警戒心が強くなったり、落ち着きなくソワソワしたりする状態を指します。 つまり、不安定な精神状態のことです。
介護について知りたい
不安定な状態ということは、怒ったりするんですか?
介護の研究家
怒りっぽくなることもありますが、それだけではありません。何かが起こりそうで緊張していたり、ドキドキと興奮している状態にも近いです。 利用者さんが『不穏』な状態の時は、何が原因で不安を感じているのか、周囲をよく観察することが大切ですよ。
不穏とは。
介護の現場でよく使われる「不穏」という言葉は、周囲に気を配ったり、そわそわと落ち着かなかったりと、心ここにあらずの状態を表しています。これは、まるで何かが起こりそうで緊張感が高まっている、興奮状態に近いと言えるでしょう。
介護における『不穏』とは?
介護の現場で頻繁に耳にする『不穏』という言葉。なんとなく意味は理解していても、実際にどのような状態を指すのか、はっきりと説明するのは難しいかもしれません。『不穏』とは、医学的な定義があるわけではありません。 一般的には、不安や焦燥感、興奮といった精神状態が見られ、落ち着きがない状態を指します。 具体的には、怒りっぽくなる、 hallucinations”幻覚が見える”、 delusions”妄想にとらわれる”、徘徊する、 refusal_of_care”ケアを拒否する”、暴力や暴言など、さまざまな症状が現れます。
重要なのは、『不穏』は病気の名前ではなく、あくまでも症状の一つであるという点です。 そのため、不穏な行動の裏には、認知症の進行や身体的な痛み、環境の変化など、さまざまな要因が隠れている可能性があります。
不穏行動のサインを見つける
穏やかに過ごしていた利用者が、急に落ち着きをなくしたり、怒り出したりすることがあります。介護の現場では、このような状態を「不穏」と呼びます。不穏は、身体的な要因や環境的な要因、精神的な要因など、さまざまな原因で起こり得ます。しかし、原因がはっきりとわからないまま、対応に苦慮することも少なくありません。
重要なのは、不穏行動のサインを早期に発見し、適切な対応をすることです。些細な変化を見逃さず、利用者の様子に注意を払いましょう。例えば、いつもより落ち着かない様子や、表情が硬く、目が泳いでいる、些細なことでイライラする、一人になりたがる、食欲がない、睡眠時間が短いなどのサインが見られるかもしれません。これらのサインに気づいたら、早急に他のスタッフに報告し、連携して対応する必要があります。
不穏の原因を探る
利用者の方が見せる突然の怒りや不安、興奮といった行動の変化。介護の現場では、このような『不穏』と呼ばれる状態に、戸惑うことも少なくありません。不穏な状態への対応は、安易な行動の制止や感情的な応答を避け、まずはその背後にある原因を探ることが重要です。
不穏な行動の背景には、身体的な要因と心理的な要因が考えられます。例えば、発熱や痛み、便秘といった身体の不調が、利用者の方を不安定にさせているかもしれません。また、環境の変化や人間関係のストレスなど、心理的な要因も無視できません。さらに、認知症の進行に伴い、時間や場所、周囲の人々に対する認識が困難になることで、不安や混乱が生じ、不穏な行動につながるケースもあります。
重要なのは、不穏な行動を『問題行動』と決めつけずに、利用者の方が何らかの訴えかけをしているサインとして捉えることです。そのサインを見逃さずに、原因を特定し、適切な対応を取ることで、利用者の方の不安を軽減し、穏やかな時間を増やしていくことが期待できます。
不穏な状態への具体的な対応策
不穏な状態にある利用者の方に対して、落ち着いていただくための具体的な対応をいくつかご紹介します。重要なのは、まずは利用者の方の気持ちを理解しようと努め、安心感を与えることです。
* -環境調整- 周囲の環境が騒がしい場合は、静かな場所へ移動したり、照明を少し落としたりするなどの工夫をしてみましょう。
* -傾聴- 「どうされましたか」「何か不安なことはありますか」と優しく声をかけ、じっくりと話を聞いてみましょう。
* -共感- 利用者の方の言葉に耳を傾け、「つらいですね」「不安ですね」と、まずは気持ちを受け止めましょう。
* -安心感を与える- 「あなたはここにいて大丈夫ですよ」「私がそばにいますよ」と、安心できる言葉をかけてあげましょう。
* -身体的接触- 手を握ったり、軽く肩に触れたりするなどのスキンシップも有効な場合があります。ただし、嫌がる場合は無理に行わないようにしましょう。
* -気分転換- 好きな音楽をかけたり、アロマを焚いたり、温かい飲み物を用意したりするなど、気分転換になるような働きかけも有効です。
これらの対応策を試しても改善が見られない場合は、無理に対応しようとせず、医師や看護師に相談するようにしましょう。重要なのは、利用者の方一人ひとりに寄り添い、その方に合った対応を模索していくことです。
穏やかな環境作りのために
利用者の方々が安心して過ごせる空間を作ることは、不穏な状態を防ぎ、穏やかな日々を送るために非常に大切です。 物理的な環境としては、太陽の光を取り入れられる明るい空間であるか、室温や湿度は適切か、過剰な騒音はないか、転倒などの危険がないか、といった点に気を配る必要があります。 また、心理的な環境も重要です。 利用者の方のペースに合わせた関わり方を心がけ、安心感を与えられるよう、穏やかに話しかけましょう。 慣れ親しんだ家具や持ち物を置くことも、安心感に繋がります。 利用者の方一人ひとりの状況を把握し、個別に対応していくことが、穏やかな環境作りの鍵となります。